黒沢清監督が哀川翔＆前田耕陽のＷ主演で１９９０年代に連作した「勝手にしやがれ！！」シリーズの第５作。今回は、元Ｗｉｎｋの鈴木早智子がゲストヒロインとして出演。

いまや現代の日本映画界を代表する屈指の名匠として活躍する黒沢監督が、1990年代半ば、哀川＆前田を主役コンビに迎え、早撮り低予算で量産した人気娯楽シリーズの第5作。今回は、暴力団の組員たちが繰り広げる派手な銃撃戦から、波乱に富んだ物語がスタート。その現場にひとりのOLが偶然居合わせたことから、哀川＆前田扮する2人組の主人公も仲間に加わって、爆笑必至の愉快でナンセンスなヘロインの争奪戦が始まることに。ゲストヒロインは、人気アイドルデュオWinkをこの年活動休止したばかりの鈴木。

1996年製作／日本
配給：ケイエスエス
劇場公開日：1996年9月7日

暴力団の組員同士が激しい銃撃戦を繰り広げた直後の駐車場に運悪く足を踏み入れたOLの三奈子は、死ぬ間際のひとりからヘロインを託され、その場から車に乗って逃走。すっかりパニック状態に陥った彼女は衝突事故を起こし、雄次と耕作の2人に救われることに。三奈子は2人に事情を説明し、かくして彼らのもとには、暴力団やいかがわしい麻薬のバイヤー連中が付きまとうようになる。風雲急を告げる彼らの運命や、果たしていかに？

いつものやっつけ仕事の最中だった雄次と耕作は、自動車事故を起こしたＯＬ・三奈子を助けた。数日後、三奈子は暴力団抗争の現場にたまたま居合わせてヘロインを託されたと、雄次たちの前に姿を現わした。すでに組員は全滅しており、彼女が手にしたヘロインの包みは時価800万相当。処理を任されたふたりの元にはどこで聞きつけたか暴力団の3人組や麻薬バイヤーが現われ、てんやわんやの買取競争を繰り広げる。それを見た三奈子は実はまだ包みが隠してあると言い出し、こちらの紙袋ひとつぶんの時価は8000万相当だった。彼女はこれを不倫中の上司・岡山と一緒になるために使おうと考え、またひと騒動が持ちあがる。ヘロインすべてを雄次たちに渡した三奈子は岡山と一緒に旅立っていくかと思いきや、実は彼女がまだ紙袋を隠していたことがわかり、出るわ出るわで8億円分のヘロインが現れた。3人組やバイヤーが度々脅しに来て騒ぎが大きくなるうち、情報がめぐりめぐって相場が下がり、結局どこにも売れなくなってしまう。このままでは相場関係者に殺されると思った雄次たちは、ヘロインを捨てる決心をした。捨て場所に苦労しながらも紙袋一つは海に捨て残りはトイレに流し、三奈子と岡山がふたりでバリに旅立ってめでたしめでたしとなるはずだったが、しつこい3人組が岡山をさらってヘロインをよこせと脅迫する。偶然残っていたひと包みを手に湖畔の交換場所へ雄次たちが向かうと麻薬バイヤーまでが現われ、さらに海に捨てた紙袋もその場に流れ着き、3人組とバイヤーはヘロインを奪い合って自滅、今度こそ本当の大団円を迎えた。