日本で最高の奥の深い青春映画がコレだ「ロックよ、静かに流れよ」男闘呼組
リアルで、心にやさしいんだ…
ロックの好きな4人の高校生が、“大人はツッパリに理解を”というテーマで論文を書いて「昭和57年度毎日郷土提言賞」で準提言賞を獲得した。その直後、メンバーの一人が交通事故で死亡。残った3人は友の死を悼み、追悼コンサートを開いた…という実話をもとにして、メンバーの一人の母、吉岡紗千子さんが書いた同名小説を映画化したものだ。
主演は男闘呼組。でも4人が一人ずつ一人の役者として、全力投球の演技をしている。“お互いが役者としてライバル”とふだんいっているように、画面で見ていても4人が火花を散らして、演技に取り組んでいるのがよくわかる。ケンカのシーンでは、本当に殴り合ったり、セリフが今の奴らは言わない…と思うと4人で考えて言い方を変えたり…。そんな4人の熱意で、この映画は本物の青春映画になっていると思う。
こんな4人を盛り上げているのが、ほか弁屋の店長役のコント赤信号の渡辺正行、俊介の母親役のあべ静江など、さりげなく4人の演技をフォローしている。
そして、監督は俳優のロバート・レッドフォード(Robert Redford)が主宰する映画人養成所『サレンダンス・インスティチュート(Sundance Institute)』に唯一の日本人として招待された長崎俊一さん。テンポのいい展開、季節感あふれる映像。男闘呼組の4人が、生き生きと画面の中で動いている、そんな魅力をビシッと引き出しているんだよね。何度見ても新鮮な気持ちになれる、最高の日本映画だ‼︎
男の世界をじっくり研究だい!
「あぁ、男の子の友情っていい!」と思わず言っちゃうこの作品。さっぱりしていて、優しさがあって、それでいて深い信頼感のある、そんな男同士の世界をじっくり味わおう。俊介を心配して「かったおっかくん」と迎えに来るミネさのテレ、一度、仲間を外れたトンダが戻ってきた時の3人の笑顔。ラストのろうそくをふき消すシーン。どれをとっても胸がジーン。男の友情、夢…こんなに切ないんだね。
STORY
東京から長野県松本市に転校してきた片岡俊介(岡本健一)はケンカがきっかけで、ミネさ(成田昭次)トンダ(高橋一也)トモ(前田耕陽)と仲間になる。4人でバンドをやるという夢を持ち、楽器を買うためのバイドに励んでるとき、賞金50万円の懸賞論文募集に目をつけ応募し、見事に銀賞30万円を獲得。楽器も揃え、これから…というときにミネさが事故で帰らぬ人に…。3人は彼の追悼コンサートをやろうとする。