6/5-6/28 ペール・ギュント、5/11-6/3花婿、コックの3役。
高橋一也とのWキャスト。
端正な岡本ペールを追いかけて青山劇場へ。
役者ライフはどこまでもストイック!? なのであった。
6/5から6/28まで約1ヶ月、岡本版「ペール・ギュント」は公演された。何物にも支配されることを嫌うペールを、健一は自分に次々とぶつかってくる困難から、スルリと身をかわすフットワークのよい、しなやかなペール・ギュントとして演じていたように思う。特に秀逸だったのは、中年にさしかかり、女も金も思いのままに人生を歩んでいた頃のペール。これはまさにハマリ役!
ただ、ヒゲをたくわえ豪快に笑う、そのルックスが、本来の彼とは遠く離れていたかもしれないけれど…。
一也のペールが“永遠の不良少年” ならば健一のそれば“くしなやかなドンファン”ひたむきな青年時代を経て、次第に亭楽の世界に溺れ、人間の極限も垣間見るペールの後期を演じる健一は魅力的でありました。
ダブルキャストで出番が後にまわったことへのまわりの心配は、彼の熱演が「問題ナシ。大成功」という答えを導きだしていたね。
健一にとっては2度目の蜷川舞台。舞台の魅力にとりつかれた彼。何が健一をひきつけるのか?健一の楽屋にて、インタビューを敢行だ!
前の舞台に続いての蜷川さんの演出だけど、今回は前回よりリラックスしてます?前は初日の前夜は眠れないって言ってたんだけど…。
岡本 眠れないなんてウソさ(笑)2回目だからやりやすいとか全くないよ。昔のものをひきずってないし、全く関係ないよ。新たな気持ちでやってる。
ダブルキャストで、出番があとにまわるのやりにくくない?
岡本 俺が最初だったら、逆にできなかったと思う。やっぱり役作りの時間がほしかったし。あとだからこそ、客席で高橋のペールを見て、役を練ることができたんだよ。よかったよ。
ペールと自分は違うと、インタビューで答えていたのを読んだけど…。
岡本 それは外見的なことを言ったんだ。内面はソックリ!そのものじゃない!? やっぱり演じるとなれば、その役に惚れて、陶酔しないとできないよ。
客観的に見て、ペール・ギュントの人生は幸せだったと思いますか?
岡本 …幸せとはいえないね…。
舞台をやる上で、生活の中で気をつけていることとかある?
岡本 タバコや酒はやめてる。食生活も結構気を使ってるし、一応合間見てストレッチもやってるよ。ただそれは劇場内での話だけどね。家に帰ると普通に戻ってる。まぁ、全体的にみて少しストイックになるかもね。
舞台の仕事の魅力って何?
岡本 これはやってみないとわからないものがあるんだ。ただ短期間でパッパッとやる仕事に比べると、キャスト、スタッフ全員の気迫がちがうね。エネルギーのぶつかり合うパワーが舞台の力。同じことを毎日やっていても、ひとつひとつが一生に一度の時間なんだ。映像にも残らない、やりなおしのきかない緊張感が俺を奮い立たせているんだと思うよ。